院長コラム

2026-08-26 15:33:00

マッスルシリンダーの真実

~側弯症、膝・股変形関節症の改善に関わる筋機能とは~

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シリンダー反応を引き出せる動作は傾ける以外にもあるのです。ゆえに傾けるエクササイズだけで完結してはなりません。この先が存在します。この発見は始まりに過ぎません。

マッスルシリンダーとは 「筋肉にふくらむ力がある」 ということを明確にした言葉です。

ゆえに 「傾けるエクササイズの名称」 としてマッスルシリンダーを使うのは、原点を忘れています。

骨格筋には、毛細血管が密になっていますが、これは 血流圧という水圧の力を可能にするためであり、これを土台として骨格筋は収縮できる ということを示唆します。

しかし、この説明は今日の医学的な常識から見たとき不可解なことに見えるはずです。なぜなら医学は骨格筋の機能を収縮することで動く、と学び、骨格筋に膨張作用があるということは、これまで言及もなく気付くこともなく考えられても来なかったからです。

これは私たちが重力に抗って立っていることは当たり前で、そこから力を使うとき初めて筋肉を収縮(力ませて)させて動いているという実感が現れ、ここからが筋機能である、と思ってしまったからです。

予め在る 「ふくらむ力」 は無意識の作用(自律性の機能)なので考慮されませんでした。

だから力ませて収縮させないと運動にならないと考えます。

これがリハビリや側弯症改善、関節変形改善のための体操のときには当てはまらないのです。

収縮させる以前の ふくらむ力、マッスルシリンダー が足りていないからです。

今日のリハビリにおいて、筋力の回復にはすべて、骨格筋を収縮させることから始まることが当然になっています。この収縮方向に負荷をかけることが筋肉の訓練であり、これ以外の発想はないのです。

元気なときならばこれで構いません。予め、筋肉にふくらむ容量が充分にあるからです。

しかし痛いとき、関節が変形したとき背骨が側弯を起こしたとき、この見方は 全く反対方向の訓練法である ということを理解しなければなりません。

収縮させる運動方向は、委縮した骨格筋をさらに委縮させるからです。

ゆえに 「関節の変形」や「脊柱の側弯」の改善には不適切 です。

昨今、これに関係した重要なロボット開発の研究があります。

そのヒントは始めにアニメの世界から始まったようです。

ロボットを主人公にしたアニメの世界で、アニメ「装甲騎兵ボトムズ」等に登場するロボットには人工筋肉 「マッスルシリンダー」 が、主人公ロボットの動力となっているのです。良いネーミングですよね「マッスルシリンダー」アニメ創作者の発想は豊かです。

これを実用化しようという研究が東工大の鈴森教授によって行われています。

東工大の研究は油圧式シリンダーによってロボットの動的構造を実現しようというものです。

この事実は、筋肉が収縮以前に一定の水圧によって(ロボットの場合は油圧) 膨らむ力が無ければ立って動く構造体は作れない という物理的な事実を明確にしたものです。

即ち骨格筋は収縮以前の油圧シリンダーのように 膨張性能を持っていなければならない という事実を明らかにしたものであるということが言えます。

身整式では、これを 抗重力・重心制御作用 という概念で捉え、ヒトの身体が立ち上がり直立二足歩行を可能にするには、その抗重力作用(重力に抗って立ちあがる)を実現するのに骨格筋は収縮以前に膨張していなければならない、と、公式ブログなどで説明してきたことに符合します。

医学は骨格筋を収縮という視点でばかり見てきました。人が立っているのは当たり前で、ここから可能になっている骨格筋の動きが収縮であったために、ここにまず目が向いてしまったのです。しかし、リハビリにおいては、当たり前であったレベル、すなわち 収縮以前の土台のレベル に目を向けなければなりません。

当たり前が当たたり前に動けなくなってしまっているというのが患者さん側の本音です。

訓練すべきは、 予め基礎的に筋肉に備わっていた膨張力(シリンダー機能)を取り戻すこと なのです。

ここに初めて目が向いたのは、ドイツの側弯症治療 「シュロス法」における「マッスルシリンダー」 というものです。

シュロス法のテキスト(中村尚人監修)では、身体を傾けることで脊柱のカーブの凹側に脊柱起立筋がふくらみ、脊柱を戻す力となるということが数行で説明されています。

身整式が注目したのはこの数行です。これこそが 筋機能の本質 をついているからです。

しかしシュロス法のテキストですら、この説明が数行という一部であり、骨格筋の膨張する力を如何に凹側に応用すればよいかという実用的なレベルにまだ入っていないのが現状です。

変形した骨格を戻そうというのですから、これを行う側弯症の方、本人の根気も不可欠な訳ですが、そのエクササイズにおいて 「実用的なレベルのものが少ない」 という状況は何とかしなければなりません。

幸い、私どもは合気道なるものをやってきました。これは骨格筋のふくらむ力を優位にして収縮性の張力を最小限にして重心を崩さずに動くという武道動作の訓練です。

難しいことは、一旦、置いておいて、

分かりやすい例えでいくと・・・、

例えばタイガーウッズは

「ゴルフスイングでボールを遠くに飛ばすには力を抜くことだ」 と説明します。

これを真実の筋機能から見たとき、ふくらむ力(マッスルシリンダー)を優位にして張力(収縮性の力み)を最小限にした方が最大の力をインパクトゾーンに集中する動作になるということを説明したものです。収縮中心の「力ませる力」はそれほど重要ではないということを言っているのです。

意図的な収縮という張力(力み)を使うより、 潜在意識的なシリンダー反応と一体化する方が最大のパフォーマンスを生む のです。

これに近いことは多くのスポーツ選手がよく言うことです。

少し違った視点で見ていくと、例えば、私たちは元気なとき自らの身体を重いとは感じません。しかし体は重いのです。自分の身体を支えるのは無意識の筋力であって、これが ふくらむ力、マッスルシリンダーの本質 です。ゆえに疲労が蓄積してきてシリンダー機能が落ちると身体は重く感じるのです。

このような作用を、身体を傾けたときそのシリンダー反応が脊柱カーブの凹側に自然に現れ、目に見える状態にあったということです。これがシュロス法の示唆した重要な発見です。

力士が四股を踏むという稽古も、シリンダー反応を重視した動作です。足を上げて傾けるでしょう。

これがマッスルシリンダーを引き出すヒントでありリハビリ運動創作の最大のヒントです。

身整式はこの気付きから、マッスルシリンダーはどのような動作でどのようにして引き出せるのか、という工夫が急務であると考え、身整式はシュロス法のテキストを手にした2016年から、傾けるだけでなく、シリンダー反応を引き出せる体操動作を自分たちの身体でやってみて、研究しました。そして、これならば実用的に勧められるというエクササイズを考案しました。その結果を改善症例で見ることが出来ます。

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収縮(意図的)よりも

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血流圧(水圧)を使う動き、が重要なのです。