院長コラム
効果的にリハビリ運動を行うための原理(身整式が考える筋機能の原理)
効果的にリハビリ運動を行うための原理(筋機能の原理)
身整式のリハビリ体操の主たる目的は、萎縮した体幹インナーマッスルや抗重力筋を膨らませるというものです。
なぜなら、姿勢維持や関節の可動域を確保するための関節の隙間はこれらの抗重力性を持った筋肉の膨らむ力で維持されているからです。抗重力筋の機能は収縮よりも膨らむことです。これには密になった毛細血管の水圧が重要な力になっており、重心の制御作用や姿勢維持は主としてこの水圧が重要な力なのです。
脚の主要な関節である膝関節や股関節が変形を始める理由は、これらの関節を支持する抗重力筋の萎縮、すなわち膨らむ力が衰えてきたからです。現代医学でも関節の変形は筋力の衰えであるということを言っています。例えば、MRIなどの画像検査で体力的な自立機能の衰えのある人の大腰筋の画像を調べた結果、その容量が少なくなっているということを突き止めています。しかし、身整式の見方で見ても検査画像を見るまでもなく、その歩き方を見れば大腰筋を始め下肢の抗重力筋の容量について分ります。例えば昨今ではエスカレーターの速度が20年前よりゆっくりになりましたが、これも高齢者の人口増加や運動不足気味の人も増え、事故が起こるようになってきたからです。立脚相の安定、即ち、片足立ちの安定が変形を始めた脚にとって著しく弱っているからです。
この様な抗重力筋の弱った脚を、マシンを使った筋トレで訓練しても片足立ちの機能がよくなるわけではありません。なぜなら筋トレは抗重力筋や体幹インナーマッスル以外のアウターマッスルを収縮性に訓練するものであって、かえって抗重力筋を萎縮させてしまう恐れがあるからです。
これは佐々木朗希君が本能的に筋トレをしたくないと感じていることに一致しています。それぞれの体質に合った訓練法があります。
その体質の見分け方の原則として、アウターマッスルは収縮性に機能して、抗重力筋や体幹インナーマッスルは膨張性に機能するという筋機能の原則を知る必要があります。
重心を変化させると抗重力筋の水圧(血流圧)が変化する。重心制御作用の基本理念
大腰筋や多裂筋は膨らむことで脊柱を縦に伸ばすことができるという抗重力作用を理解する。膝や股関節などの関節の隙間も抗重力筋の膨らむ力で維持されている。
ここまでの説明は現代の基礎医学や運動学には存在しません。
医学は始めに骨格筋を収縮と弛緩という見方で機能分類をしており、膨張性という機能については全く気づいていないのです。
しかしよく考えて下さい。収縮するにせよ弛緩するにせよ、そこに膨張性という働きなくしてヒトの身体が立ち上がることはできません。また膨張していなければ収縮できる容量が存在しないことになります。膨張性は予めある力の容量であったためにあまり重要視されませんでした。例えば私たちは元気な時自分の体を重いと思ったことはありません。これは自分の体重は楽に支持できる程度に予め自分の体に力が備わっているということなのです。しかしぎっくり腰の様な痛みの酷い腰痛になったら自分の体の自由が奪われ、そこで自分の体が重いことに気づきます。この自由とは予めあった無意識の力が奪われた状態であることを指しています。
この予めある力は無意識レベルの力なのでこれまでの筋トレの様なやり方では訓練ができません。体幹インナーマッスルや抗重力筋は筋トレとは全く違う視点で訓練するものだということです。例えばシュロス法の身体を傾けるマッスルシリンダーというのは重心を傾けて起立筋が膨らんだという重要なエクササイズのヒントを示唆したものです。
傾けることで弱い起立筋が膨らんで凹側を膨らませ拡張できるという発見は重要なのですが、骨格筋に膨張性の力があるという解剖学的視点の欠如のためこれが理解されず誤解されたままで今に至っているのです。


